巻頭言
難病とリハビリテーション
村上 慶郎
1
1国立療養所箱根病院
pp.741
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105456
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最近のわが国のリハビリテーション医学の進歩は筆者が米国でリハビリテーション医学の勉強をして帰国した20年前に比して目を見張らせるものがあります.例えば義肢や補装具あるいは種々のリハビリテーション機器の進歩は著しく,人的な面でもPT,OTなどのco-medical staffの数も質的な面は別として,かなり増加してきています.脳卒中,脊髄損傷などのリハビリテーションについては,問題はありますが,かなりの成果が見られるようになってきました.
しかし,進行性の疾患に接している我々にとってはリハビリテーション医療は非常な困難さを感じます.私どもの病院では脊髄損傷患者に加えていわゆる神経難病,筋ジストロフィー症の患者の医療を行っていますが,これらの患者は末期の方が多く,総合病院や大学病院でみる教科書的な患者とは非常に異なっています.このためこのような患者のリハビリテーションを依頼されても困惑する場合が多くみられます.末期の患者でなくても,かなり長期間入院するために,段々と進行してついには本院で不幸な転帰をとられる方も多くみられます.
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