Japanese
English
講座 リハビリテーション医に必要な全身管理(5)
慢性閉塞性肺疾患
Chronic Obstructive Lung Disease.
山口 明
1
Akira Yamaguchi
1
1国立療養所東京病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, National Tokyo Hospital.
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患
,
酸素療法
,
肺理学療法
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患
,
酸素療法
,
肺理学療法
pp.377-384
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105383
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はじめに
近年,老齢人口の増加,公害などによる大気汚染,喫煙習慣などから慢性閉塞性肺疾患Chronic obstructive lung(pulmonary)disease(COLD,COPD)とよばれる疾患群の数も増加し,臨床的にも注目されてきている.
COLDのリハビリテーションに関しては1960年代の報告では客観的にリハビリテーションの効果を示すことの困難性から一部にその有効性を疑問視するむきもあったが,最近,リハビリテーションによる肺機能の生理学的効果を示す報告も多くなり,慢性呼吸不全の長期ケアの面からも重要な位置を占めてきている.
今日,わが国でとられているCOLDの分類は閉塞性(気道コンダクタンスの低下,一秒率の低下)を共通項に原因の如何を問わない一連の疾患群として①肺気腫pulmonary emphyseme,②慢性気管支炎chronic bronchitis,③喘息asthmaの三つに総括している.③については気道閉塞が治療その他で間歇的に変化する可逆性閉塞性肺疾患として最近ではCOLDから除外される傾向にある.しかし,慢性型のasthmaには不可逆的な肺病理学的変化を伴っている例も多く,①,②の合併例もあり,必ずしも前二者との鑑別は容易ではない.また,最近,慢性気管支炎に類似した感染症状を繰り返し,高度の気道閉塞を示すびまん性汎細気管支炎diffuse panbronchiolitisをCOLDに含めて論ずる傾向にある.
次に,これら各疾患の特徴とリハビリテーションを中心に治療上の問題点について述べる.
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