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慢性閉塞性肺疾患の肥満患者における代謝および炎症像
鈴木 優治
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患
,
肥満
,
炎症
,
メタボリック症候群
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患
,
肥満
,
炎症
,
メタボリック症候群
pp.786
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101659
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体重および筋肉量の減少は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の経過中における重要な症状である.COPD患者においては,過剰体重および肥満はより良好な生存と関係しており,通常の死亡率とBMIとの関係の逆である.一方,過剰体重はメタボリック症候群や冠状動脈疾患を招く異常な代謝および炎症と関係している.著者らは,COPD患者における過剰体重および肥満のメタボリック症候群の有病率への影響と,代謝および炎症像への影響の評価を行った.研究ではCOPD患者を過剰体重・肥満群と正常体重群に二分し,人体測定,肺機能および生体成分を測定した.メタボリック症候群はウエスト(腰回り),血液中の中性脂肪,HDLコレステロール,空腹時血糖および血圧に従って診断した.これらに加え,血漿中のCRP,TNF-α,IL-6,レプチン,アディポネクチンを測定した.気道閉塞は過剰体重・肥満患者のほうが正常体重の患者に比べ軽度であった.メタボリック症候群は過剰体重・肥満患者のうちの50%で診断されたが,正常体重患者ではみられなかった.TNF-αおよびレプチンは過剰体重・肥満患者において有意に高値であったが,アディポネクチンは過剰体重の者では減少していた.
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