Japanese
English
症例報告
結核性クモ膜炎の2症例―深部覚障害による失調性歩行
Two Cases with Tuberculous Spinal Arachnoiditis: An Approach to Ataxic Gait.
岡島 康友
1
,
蜂須賀 研二
1
,
正門 由久
1
,
斎藤 正也
1
,
千野 直一
2
,
河合 健
3
Yasutomo Okajima
1
,
Kenji Hachisuka
1
,
Yoshihisa Masakado
1
,
Masaya Saito
1
,
Naoichi Chino
2
,
Ken Kawai
3
1慶応大学月が瀬リハビリテーションセンター
2慶応大学医学部リハビリテーション科
3慶応大学医学部内科
1Keio University Tsukigase Rehabilitation Center.
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine.
3Internal Medicine, Keio University, School of Medicine.
キーワード:
結核
,
クモ膜炎
,
対麻痺
Keyword:
結核
,
クモ膜炎
,
対麻痺
pp.295-298
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105364
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はじめに
1909年Horsley1)が“Chronic Spinal Meningitis”として梅毒性クモ膜炎を報告して以来,かつては“原因不明の脊髄炎”として扱われてきた疾患が見直され,種種の原因によるクモ膜炎が明らかにされた.結核性のクモ膜炎に関しては,1947年Smithら2),Ransome3)らが初めて報告し,その後1950-60年代に多数の症例4~6)が発表された.しかし最近は,抗結核剤の普及により,結核性クモ膜炎の発症は稀となった7~10).また1978年Shawら11)はMyelographyでクモ膜炎と診断された症例に,結核菌を含めて感染が証明されるのは,極く稀であると報告している.
最近,当リハビリテーションセンターにおいて,近年稀となった結核性髄膜炎に続発したクモ膜炎性の不全対麻痺2例を経験した.これらは深部覚障害を前景に有する特異な対麻痺のため,リハビリテーション的に興味のある経過をたどった.若干の考察と共に報告する.
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