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はじめに
目的のある動作をスムーズに行うためには,中枢神経系の促通と抑制の相互関係がうまく行われなければならない.つまり動作に必要な筋に適当なインパルスが送られ,また必要でない筋には抑制のインパルスを送ることもある.例えばsilent periodは抑制性制御として表出される現象である.
このsilent periodは随意的な軽度の緊張状態から急速な反応動作をおこしたり,また自発的な動作でも,その動作に先行して筋電図に休止期として観察される.一方,反射動作において,動作中や筋収縮中にみられるsilent periodもある.
動作前にみられるsilent periodは1922年,P. Hoffmann1)によって発見され,さらにStetosonら2)が動作前筋放電休止期として記録して以来さまざまな論議を呼んでいる.今日その出現機序はIa,Ib,反回抑制などの脊髄レベルの機構とするもの3)と,脳幹網様体4)や小脳5),大脳皮質6)などの上位中枢神経機構によるものと,大きく二分されているようである.しかしこれらはあくまでも動作と筋放電からの推論であり,中にはsilent periodの出現と持続時間からの検索的解明も含まれている7~9).
川初10)によるとsilent periodは随意動作において,調整能力や巧みさとに深い関連がありmuscle coordinationが優れている者ほど,その出現率が高く,持続時間は短いという報告をしている.
一方,リハビリテーション訓練において,筋電図の有効な利用方法としてEMGフィードバックがある.しかし現在,EMGを利用しての協調動作の改善に関する指標はみられない.
このことから本研究はsilent period(以下SPという)が,リハビリテーション医療において何らかの指標になるかどうかを検討してみた.
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