Japanese
English
講座 運動療法とその背景(1)
運動療法の基本的理念
Basic Concept of Therapeutic Exercise.
緒方 甫
1
,
浅山 滉
1
,
森田 秀明
1
,
宮原 恵子
1
,
大峯 三郎
1
Hajime Ogata
1
,
Ko Aasayama
1
,
Hideaki Morita
1
,
Keiko Miyahara
1
,
Saburo Ohmine
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health.
キーワード:
運動療法
,
リハビリテーション
,
残存機能
Keyword:
運動療法
,
リハビリテーション
,
残存機能
pp.55-59
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105097
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はじめに
運動療法は疾病または外傷によって生じた障害を運動そのものを主な治療手段として活用するものであり,リハビリテーション医学においての中核的な治療法である.
この運動療法は古い歴史を有するが,それは1940年代に起った早期離床,早期歩行の運動により開化され,不必要であり,場合によっては無意味な過度の安静よりも,適当な運動が重要であるという認識が深まり,発展してきた1).
これは記すまでもなく,解剖学,生理学,運動学,病理学,臨床医学ならびに障害学などの科学が基礎となり,医学的に管理されて行われるものである.
これは,全身的または局所的の障害の改善を計るものである.要約すれば,広義の残存機能の強化,維持と二次的に発生する障害(合併症)の予防と治療である.近年,その適応も,単に狭義の運動器の障害のみでなく,心疾患,呼吸器疾患などの補助的療法としても活用され,拡大されつつある.また,バイオフイードバック(biofeed back)療法など多くの新しい考え方も導入され,今後,ますます,発展が期待される分野である2,3).
しかし,ともすれば,局所的な視野に偏在したものに主眼がおかれる傾向にあり,リハビリテーション医学の基本的理念である全人間的回復という広い視野にたちかえる必要性を,日頃,痛感しているので,この面を中心に,私共の教室において,現在までに,検討し得た資料の一部をまじえ,ふりかえってみることとする.
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