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はじめに
脳血管障害(以下CVD)のリハビリテーション(以下リハ)は,疾患の特殊性(老人・慢性疾患・症状の多様性・合併症の複雑さなど)から,CVD発病後,一生涯にわたり治療・管理・指導が課せられる.医学的側面からは,リハ医と家庭医,その他の各専門医間およびパラメディカル要員(看護婦・理学療法士・.作業療法士・言語療法士・ソーシャルワーカー・心理学士)との連絡,チームワークが大切である.個人的・社会的・経済的・心理的見地からは,長期にわたる家族・友人の支持,援助,信頼できる家庭医の存在が必要である.
CVDのリハ実施上,上記のことを十分踏まえた上で,患者の治療・管理・指導を進める.リハ施行に当たり,患者に行う各種の検査は診断の確認,病因の究明,損われた機能,残存機能の評価,機能回復の予測,合併症・随伴症(リハ阻害因子)の発見と管理,再発予防,そしてリハ・プログラム,目標設定のための検査に他ならない.
表1にリハ施行方針の要約を示す.CVDの急性期では,診断の確認,救命のための医療が優先することはいうまでもない.救命が可能である時は,障害度の判定,機能回復の予測をする.リハは可及的速かに開始することが望ましいが,発病初期では,脳浮腫やそれに基づく二次的循環障害のため,各種神経症状が修飾されていることが少なくない.したがって,発病後,数ヵ月間は自然緩回も十分期待できる.発病初期のリハは,良肢位の保持,体位変換,患側および健側肢の自動・他動運動,起座訓練などが主であり,健肢を含めて残存機能を維持し,各種の随伴症(表2),特に関節・筋の拘縮・強直,褥瘡,膀胱炎,肺感染症などを極力防止し,能動的リハに備えることにある.この間,神経症状の推移について記録をする.またCVDの病因の究明,合併症(CVDのリスク因子を含む)(表3)の検索・評価・管理を行い,リハ・プログラムの中に反映する.再発予防についても十分留意する.以下,表に従い,幾つかの注意点を述べ,責を果たしたい.
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