Japanese
English
特集 コミュニケーション介助手段
視覚障害者とカナタイプ
The Visually Handicapped and Kana-Typing.
松井 新二郎
1
Shinjiro Matsui
1
1日本盲人職能開発センター
1The Vocational Development Center for The Blind in Japan INC.
キーワード:
社会参加
,
新職野の開拓
Keyword:
社会参加
,
新職野の開拓
pp.703-706
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104607
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はじめに
視覚の欠損によって,言語生活とくに文字言語によるコミュニケーションは,いろいろな形で大きな制約(restriction)を受ける.
視覚障害者のために点字は,視覚障害者の教育と文化の向上に重要な役割を果たしてきた.点字は触運動的知覚(tactile motor perception)の本質からみて,実に合理的にできており,すぐれた文字であるといえる.
しかし,点字はあくまでも「視覚障害者用文宇」であり,特殊文字である.視覚障害者同士であれば,それを媒介としてスムーズにコミュニケーションが行われても,晴眼者に対しては,一部の関係者を除いて,一般には通用しない.
そこで,自分の意思を文字を通して晴眼者に伝えるためには,晴眼者にわかる文字を視覚障害者自身が使用する必要がある.そのための非常に有効な用具の一つとして利用されているのが,カナタイプライターである.
タイプライターは本来,目の見えない人が普通文字を自由に書けるようにという願いから発明された機械である.それがいつの間にか晴眼者とくにタイピストという特殊な人の扱う事務機すなわち清書印書用の能率的機械なのだというイメージを一般に持たれるようになってしまった.しかし,ブラインドタッチオペレーションによって,文字の位置を指に覚えこませ,キー操作をしてゆくので,晴眼者であっても,文字盤その他を見ないようにして訓練を受ける.したがって,視覚障害者がカナタイプを覚えるプロセスは,晴眼者のそれとなんら変りがない.この点,カナタイプはまさに視覚障害者に適した用具だといえよう.
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