巻頭言
医師過剰時代? リハ医学に目を向けよ
高橋 勇
1
1独協医科大学リハビリテーション科
pp.595
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104583
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医師過剰時代は果して来るんだろうか.国の施策である一県一医大構想が完全に実現して,急速に医師の数が増えていることは事実である.私が昭和49年に独協医科大学に赴任したころには,日本の医師数は人口10万人に対し117人だったが,昨年12月にはすでに150人に達した.そしてこれからは毎年ざっと8000人の卒業生が国家試験を受け,5000~6000人ぐらいの人たちが医師免許を取得するのだから,この分でいけば20年経たないうちに人口10万に対して200人の大台にのるのではないだろうか.
もっとも西独の医師数は5年前にすでに人口10万に対し198.4人であり,デンマークもほぼ同様,イタリアにいたってはなんと280人をオーバーし,かつ年々ものすごい増加率でふえているというから驚異的で,それにくらべたら日本は今がちょうどいいときなのかもしれない.イギリスの114.9人は例外として,今や数の上ではフランス,アメリカとほぼ同じだ.しかし,年々確実に増えていくのだから,医師が医師らしく,プライドをもって,かつ適当な経済生活を維持していくためにはどうしたらよいか,この辺りで十分考えておく必要があるだろう.
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