これからの医療と医療制度・24
医師過剰時代
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.2568-2570
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904307
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ちょうど昨年の今頃だったと思うが,厚生省の「医師需給の見直し等に関する検討委員会意見」なるものが公表され,早ければ平成10年(1998年)には,医師過剰時代の到来する可能性のあることが広く報道された.平成10年といえばあと2〜3年後のことである.この「検討委員会意見」の内容については後述するが,まず医師数をめぐる今までの経緯と現状について述べてみる.
医師数の過剰が懸念されるようになった主な原因は,今から二十数年前に当時の田中角栄首相が「1県1医大」構想の実現を国民に約束したことに始まる.当時は医師の数が少なく,どの医療機関も多くの患者で混み合っており,救急医療も瀕死患者の「たらい回し」が社会問題化するなど,国民の医療に対する不満の声が非常に大きくなった.このような国民の不満を解消するためには,まず医療従事者,それも医師の数を増やすことが一番の解決策とされ,当時50校程度であった医学部の入学定員を増やし,なおかつどんな小さな県にも必ず1つの医科大学を作ることにしたのである.
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