Coffee Break
医師過剰時代
緒方 二郎
pp.29
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900831
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1992年に国勢調査が行われた。日本の人口は122,721,397人で,前回の1986年より2%しか増加していない。一方医師数は1992年には211,972人おり,10万対比171.3人である。医師は毎年ほぼ6000人ずつ増加しているらしいので,この5年間にはおよそ14%も増えていることになる。誰が考えてもこのまま推移すれば医師過剰時代が到来することは目に見えている。1985年に国立公衆衛生院は医学部定員を削減しない場合の医師数の推計を発表している。これによると1992年には10万対比193.5人になるはずであったが,実際には22人ほど抑制された状態になっている。
ひるがえって,実際に医師数は人口比にしてどの程度が適正なのか定説はない。10万対比190人が限度という主張がある一方,230人までは必要との反論もある。医学教育を受けた日本の優秀な人材は医療に直接携わらなくとも,いろいろな職種での活躍の場はあるし,さらには国外へ雄飛して外国での医療活動に参加する道だって今後は必ず生じてくる。若い医学徒はこのような雑音に惑わされることなく,本分を忠実に実行することが選ばれたもののとる道と考える。
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