連載 ニュースウォーク・218
目の前に医師過剰時代
白井 正夫
pp.516-517
発行日 2016年6月10日
Published Date 2016/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200465
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1年ほど前,東京大学医学部教授と雑談する機会があった。ちょうど入試シーズンで,最近の医学生気質が話題になった。「何のために医学部に入ったのかわからない学生が少しずつ増えてきて…」とは教授の話だった。全国最難関とされる東大理科3類入試を突破した秀才群のはずなのに,医療や医学への意欲に乏しい学生もいるというのだから思いがけない悩みだ。
そういえば2016年医師国家試験の大学別合格率を見ると,東大医学部は全国平均を下回った。学力一辺倒の大学入試選抜では頭脳の高さは測れても,医師をめざすモチベーションまでは測れない。現在の選抜方法を改めたらという議論が学部内でも出ているという。そこで「入試成績の1番から20番までをカットし,21番から合格にしたら…」という話が教授連から出ると聞いたが,もちろん冗談半分である。
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