発言あり
医師過剰時代
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pp.721-723
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206603
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平均値という物差しでものをいうと……
国の医師養成対策は目標の昭和60年前にも達せられることが明らかになったという.ただこれは全国各地の諸事情を勘案しない,例の平均値という物差しでものを測るという視点での話である.
確かに自由主義経済下で,都会指向性の強い医師の多いことが都会地では医師過剰をおこすであろう.しかし全国的には地域間のアンバランスはひどく,人口増加地域や過疎地域では医師不足が日常生活に大きな不安を与えている.2つ目には,医師の専攻科目には時代背景を反映した流行もあってアンバランスが生じている.3つ目には,医師の養成された時期の問題がある.例えば戦時中の軍医養成の医専,女医専等の乱造があった.このため50代後半から60代前半の医師数が比較的多い.近年はまた1県1医科大学を合い言葉に医大を増設し,医学生が無闇と増え,これが医師増に繋る要因となっている.このような次第で医師の年齢構成上にアンバランスが生じている.人口に占める医師の割合が目標を充たしたからと,直ちに歯止めをかけると高齢医師の死亡数が多くなった時期に,その反動として医師数が急激に落ち込むだろう.
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