医療を囲む声 病院の視力・聴力・感性
医師過剰を考える
中山 英明
1
Hideaki NAKAYAMA
1
1鳥取大学医学部衛生学
pp.519
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900668
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ラッシュのイメージは医師とゴルフ場
ラッシュという言葉がカタカナで定着したのは戦後の通勤ラッシュに端を発したと思われるが,身の回りでの最近の話題のうちラッシュに縁のあるものに医師の過剰とゴルフ場の新設がある.手許の雑誌の「開業医は生き残れるか」という一文が目に止まった.内容は医師の過剰,開業医の在り方,病診連携の推進を説いたものであるが,なかでも医学部入学定員の削減は早くて6年先にその効果が現れるという気の遠い話で,一県一医大設置を実現した当時の役人の先見の無さやら,それを担いだ政治家の無定見が今頃になって悔まれるのである.ベビーブームの影響から他学部では定員増について検討を重ねている時,ひとり医学部が定員減を打ち出しているのは,滑稽を通り越してむしろ哀れである.ラッシュという語感に渋滞(つめ込み)や焦燥感を伴うのは時間感覚のせいだろうか.
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