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講座
リハビリテーション医のための呼吸器入門(3)―肺外科と肺理学療法の実際
Pulmonary and Respiratory Medicine for Rehabilitation Doctor (3) Practice of Pulmonary Surgery and Lung Physio Therapy.
古賀 良平
1
Ryohei Koga
1
1国立療養所東京病院理学診療科
1Tokyo National Chest Hospital.
キーワード:
肺外科
,
肺理学療法
Keyword:
肺外科
,
肺理学療法
pp.235-240
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104293
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はじめに
肺疾患に対する理学療法Lung Physiotherapy(米国ではLung Physical Therapy)は既に欧米では古い歴史を持っている.私は第4回日本リハビリテーション医学会総会のセミナーを担当した際,これを肺理学療法と訳して報告したのが,この言葉のはじまりである.それまで肺機能訓練療法(島尾)という言葉,肺機能療法(長沢・古賀)などの言葉もあり,それぞれ訳書,著書も発行されていた.また欧米の文献にはChest Physiotherapyという言葉も見られる.そしてその定義を私は次のように述べてきた.「理学的処置によって肺疾患患者の苦痛を軽減し,病巣の治癒をはかり,疾病および処置に伴う各種の合併症と機能低下を防止し,リハビリテーションを促進させる手段をいい,肺疾患以外でも気道をいつも清浄にし,肺合併症の発生を予防または治療するいわば呼吸管理の医学もまた重要な目的のひとつである.」と.
すなわち肺外科に関してはまさに術前・術後の管理,合併症の防止,機能温存対策を担当していることになる.
最近とくに肺癌症例の急増とともに,高齢者肺外科症例が目立ってきた.老人で,しかも術前に肺合併症,なかんずく,慢性気管支炎,慢性肺気腫などの閉塞性呼吸障害を持っている患者では術後の合併症の頻度がきわめて高い.このような症例にも術前から正しい呼吸法,有効な咳嗽法など指導しておけばこの合併症は激減する.ましてこの合併症はともすれば死に至る重篤なものであるだけに,その持つ意味は大きい.
そこで今回は主として肺外科前後の肺理学療法の実際を紹介・解説していきたい.
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