今月の臨床
肺手術に用いた心膜周囲脂肪織弁の術後変化
上林 孝豊
1
,
鳥取 洋昭
,
長谷川 功
,
中務 博信
,
津島 久孝
1京都民医連中央病院
キーワード:
脂肪組織
,
心膜
,
肺外科
,
肺腫瘍
,
胸部CT
Keyword:
Adipose Tissue
,
Lung Neoplasms
,
Pericardium
,
Pulmonary Surgical Procedures
pp.789-792
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014298147
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気管支吻合部や気管支断端部の補強、肺瘻閉鎖の目的で心膜周囲脂肪織を使用した手術例のうち、有茎で気管支断端あるいは気管支吻合部の被覆に使用した5例を対象として、心膜周囲脂肪織量の経時的変化を検討した。心膜周囲脂肪織量は胸部CT縦隔条件の水平像で評価し、術後1週間以内の心膜周囲脂肪織量を基準として残存量を比較した結果、ほとんどの症例は術後1~2ヵ月まで心膜周囲脂肪織量が50%以上残存していたが、それ以降は徐々に減少し、術後5ヵ月以降では49%以下となった。気管支吻合部や気管支断端部の補強目的に使用された心膜周囲脂肪織は、CT上術後1~2ヵ月は比較的しっかりと残存していることが確認され、少なくともこの間は物理的、機械的に吻合部、断端部を保護し、重要血管としっかり隔離してくれるものと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014