Japanese
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症例報告
外傷性横隔膜ヘルニアと大腿骨骨折の整復手術後,無気肺の改善に肺理学療法が著効を示した1症例
Chest Physiotherapy at ICU for a Patient with Traumatic Diaphragmatic Hernia and Fracture of the Femur.
岸川 和弘
1
,
久米田 幸弘
1
,
栗原 知位子
1
,
佐藤 耕司
2
,
大石 督
2
,
並木 昭義
3
Kazuhiro Kishikawa
1
,
Yukihiro Kumeta
1
,
Chiiko Kurihara
1
,
Koji Sato
2
,
Atsushi Oishi
2
,
Akiyoshi Namiki
3
1小樽市立小樽病院麻酔科
2小樽市立小樽病院理学療法科
3札幌医科大学麻酔科
1Department of Anesthesiology, Otaru Municipal Hospital
2Department of Rehabilitation, Otaru Municipal Hospital
3Department of Anesthesiology, Sapporo Medical College
キーワード:
肺理学療法
,
外傷性横隔膜ヘルニア
,
背側無気肺
Keyword:
肺理学療法
,
外傷性横隔膜ヘルニア
,
背側無気肺
pp.253-258
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108331
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はじめに
外傷性横隔膜ヘルニアは交通事故や刃物などによる傷害などで生じ,腹腔内臓器が横隔膜裂孔より胸腔内に嵌入する疾患である.しばしば肺損傷や血気胸を伴うこともあり,ヘルニア整復手術後に人工呼吸管理が必要となることがある1).
今回われわれは,交通事故により外傷性横隔膜ヘルニア,大腿骨および足関節の骨折を同時に受傷した症例を経験した.手術後,患者は集中治療室で治療を受けたが,無気肺の合併のために人工呼吸管理に難渋した.無気肺の治療のために,腹臥位による人工呼吸管理,気管支ファイバースコープによる喀痰吸引,高頻度ジェット換気などのさまざまな治療を行ったが,有効な無気肺の改善が得られなかった.そこで,肺理学療法を用いて排痰の促進を試みたところ,効を奏し,無気肺が改善した.
この症例の経過を紹介するとともに,急性期疾患を扱う集中治療室における肺理学療法の必要性について,文献的考察を加えて報告する.
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