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特集 リハビリテーションにおけるリスクとその対策
慢性呼吸不全のリハビリテーションにおけるリスクとその対策
Management of Risk in the Rehabilitation of Chronic Respiratory Failure.
中田 紘一郎
1
,
谷本 普一
1
Kōichiro Nakata
1
,
Hiroichi Tanimoto
1
1虎の門病院呼吸器科
1Division of Pulmonary Disease, Toranomon Hospital.
キーワード:
慢性呼吸不全
,
肺理学療法
Keyword:
慢性呼吸不全
,
肺理学療法
pp.365-368
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104155
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はじめに
慢性呼吸不全患者は,一時的な感染対策や薬物療法のみでは正常な生活に復帰することは困難である.また,無制限な抗生物質の使用も不可能である.したがって,慢性呼吸不全患者には生涯にわたるリハビリテーション計画が必要とされるのである.肺のリハビリテーションには,肺理学療法,吸入療法,運動療法などによって構成される.
肺理学療法は肺の非可逆的病変のために低下している肺機能を十分活用し,能率的な呼吸運動を会得させることによって,個々の症例にとって可能な限りの社会活動をさせることを目的とする.そのためには呼吸練習を行い,呼吸の大きな部分を占める横隔膜を十分働かせるように,かつ無理のない呼吸が出来るように練習して呼吸効率を増していかなければならない.また,びまん性汎細気管支炎や気管支拡張症のように多量の痰を喀出する場合には抗生物質の投与と共に,体位ドレナージを行なう.すなわち痰を出しやすくするような体位をとり,できるだけ痰を出して気管支の空気の通りをよくし,呼吸を楽にするように練習する.その他,持続的酸素吸入,IPPBによる薬液吸入療法,運動療法なども含まれる.
肺リハビリテーションを行なう際には,対象患者の心肺機能,動脈血ガス分析値,運動能力,痰量等を前もって十分把握し注意深く行なえぱ大きなリスクなく実施でき,実際にはわれわれのところでは,リスクは絶無といってよいのであるが,ここでは本特集のテーマに沿って,起こり得るリスクを想定し,記載し,諸家の参考に供する次第である.以下,リハビリテーションの項目ごとに挙げ,その対策を述べる.
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