巻頭言
1980年代のリハビリテーション医学
千野 直一
1
1慶応大学医学部リハビリ・センター
pp.87
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104266
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日本リハビリテーション医学会も今年は17年目を迎える.十年ひと昔とはいえ,10年前の我が国のリハビリ医学は米国やカナダのリハビリをまねることで学会の最先端を行っているような錯覚をもっていた.また,当時を思いだすと,日本でリハビリ専門医になろうとしても卒後研修制度も皆無といってよく,小生も外国での研修をよぎなくされた.そして,帰国後の6年間の日本リハビリ医学会は年々その内容を深めているのを痛感する.事実,昨年11月に,米国リハビリ医学アカデミー総会に出席して,演題の程度も日本の方がはるかに進んでいると思われるものも少なくなかった.
米国で内科の専門医試験に合格した先輩が言った言葉がおもいだされる.つまり,帰国当初もっていた知識も5年たてば古紙同然になってしまう,と.先日も,末梢神経と筋に運動療法の及ぼす影響を研究している後輩と話しあったが最近の組織切片の埋没法,染色法,組織化学検査,電顕など,6年前に自分が行った方法とはけたちがいに進んでいる.
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