FORUM 日本におけるワクチン不信を巡る謎・3
1950~1980年代の日本における信頼の動き
-――ポリオ,百日咳,MMR
アンドリュー ゴードン
1
,
マイケル ライシュ
2
1ハーバード大学歴史学部
2ハーバード大学公衆衛生大学院武見国際保健プログラム
pp.1142-1146
発行日 2021年6月26日
Published Date 2021/6/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277131142
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ワクチンに対する信頼の絶頂期
1950年代から60年代にかけて,日本は産業だけでなく日常生活の上でも新しい技術を導入し,高度経済成長期へと入っていった.これに呼応するように,日本の公衆衛生関係者やマスコミ,さまざまな団体が,ワクチンによって長年の病気を根絶できるという可能性を,ほとんど躊躇することなく受け入れた.この時期はまた,冷戦の両陣営でさえ競って強力に支援した.1959年にWHOが開始した天然痘根絶計画に代表されるように,ワクチンや予防接種キャンペーンに対する世界的熱気が高まっていた時期でもあった.
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