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講座
リハビリテーションにおける治療(5)―脊髄損傷に合併する体温調節障害と対策
Rehabilitation Treatment (5): Disturbance of Body Tempcrature Regulation with Spinal Cord Injury and it's Approach.
緒方 甫
1
,
浅山 滉
1
,
橋元 隆
2
Hajime Ogata
1
,
Kō Asayama
1
,
Takashi Hashimoto
2
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
2九州リハビリテーション大学校理学療法科
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health.
2Physical Therapy Department, Kyushu College of Rehabilitation.
キーワード:
脊髄損傷
,
体温調節障害
,
季節的環境適応
Keyword:
脊髄損傷
,
体温調節障害
,
季節的環境適応
pp.393-397
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104161
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はじめに
脊髄損傷にともなう合併症は褥創,泌尿器科領域の諸問題をはじめとして,多岐にわたっている.これは,しばしば,リハビリテーション・プログラムの進行を阻害し,社会復帰を困難とする要因となることは周知のことである.
脊髄損傷を損傷レベル別に,頸髄損傷と胸腰髄損傷に分け,合併症の発現状況をみると,頸髄損傷は胸腰髄損傷に起因して発生した対麻痺に両上肢の麻痺が加わったという考え方は至当ではなく,合併症の発現状況も,それにともなって高くなっているという単純な問題のみでない.頸髄損傷は胸腰髄損傷に比して,自律神経系の合併症を中心として,質的な面でも変化をきたし,趣きを異にしている1~3).
この自律神経系の合併症も多岐にわたっているため,今回は体温調節障害に問題をしぼり,著者らの調査結果ならぴに経験をまじえ概説することとする.
従来,この方面の研究の主なものは,脊髄を障害されたことによって,発汗を障害されたため起こる夏季における適応障害を中心としたものである.現今では,人工冷房設備が広く普及したため,以前に比して,高度のうつ熱を呈するものは少なくなってきたが,いまだに,臨床上,重要な問題を残している.
また,一方,冬季の適応にも,著者らの調査でも問題が多く,今後の検討課題であろうと考えられる.
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