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講座
筋・神経系の電気診断(8)―脊髄疾患,末梢神経損傷
Electrodiagnosis of Peripheral Nerve and Muscular Involvement (8): Lesions of the Spinal Cord and Peripheral Nerves.
千野 直一
1
Naoichi Chino
1
1慶応義塾大学医学部リハビリテーションセンター
1Rehabilitation Center, Keio University School of Medicine.
キーワード:
脊髄疾患
,
末梢神経損傷
Keyword:
脊髄疾患
,
末梢神経損傷
pp.597-602
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104028
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Ⅰ.電気診断のいとぐち
筋・神経系の電気診断の講座のうちで,今回は脊髄疾患,末梢神経損傷についての特徴や所見について解説する.
臨床検査として用いられる筋電図(EMG)検査や神経伝導検査は,生理的運動単位motor unit(図1)である脊髄前角細胞,その支配神経線維,筋線維群の病態を検査する場合に威力を発揮するといえる.motor unitが正常の場合には,安静時に放電をみないが,これに何んらかの異常が生ずると筋細胞膜は電位的に不安定となり,安静時の自発放電(一般にdenervation potential(図2)といわれる,fibrillation positive sharp wave(P-wave)やfasciculation)を生じ,これらの有無を検査することがEMG検査において最も大切である.筋収縮時には前角細胞の興奮が筋線維を収縮せしめ,motor unit action potential(MUAP)としてオッシロスコープ上に現われる.正常のMUAP(図3)は被検筋により異なるが,2~3相性で,振幅は200~2,000μV,持続時問は4~12msecとなる.しかしながら,前角細胞疾患,末梢神経損傷や筋疾患などでは個々のMUAPの波形は特徴的に変化するので,安静時のEMGとあわせてmotor unitの病態を検索するために重要となる.また,MUAPは筋随意収縮力に比例して,recruitされるために,複数のMUAPが同時にオッシロスコープにあらわれ(interference pattern),個々のMUAPが鑑別不能となる.EMG検査ではint.patt.の増減も診断の一助となる.
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