巻頭言
リハビリテーションと障害者福祉
佐藤 孝三
1
1日本大学整形外科
pp.547
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104019
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われわれが患者のリハビリテーションに当たって,できるだけ症状の改善をはかり,患者の能力をフルにひき出したいと願うのは当然であるが,それでも正常な状態にすることができないことが多く,かなりの者が障害者として取残されることになる.われわれが病院や施設で,個別的にリハビリテーションを行っている間は,まだ治療上の一応の目標があるから心理的に救われるが,いよいよリハビリテーションの限界がきて,さてこの患者は将来どうなるだろうかと考えたとき,障害者の前途に横たわる幾多の困難を予想して,心が重くなることがしばしばある.
障害者福祉の窮極の目的は,障害者の心身の能力を最大限に発揮させ,社会の中に生活する場を与え,その生活に生き甲斐を感じさせることにあると思う.この発想は障害者の人権の尊重にもとづくものであり,障害者に恩恵を与えるという性格のものではない.
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