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研究と報告
国立病院・療養所における脊髄損傷患者の実態(1977年9月)
A Statistical Analysis of 276 Spinal Cord Injured Patients as of September 1, 1977 in All National Hospitals and Sanatoriums.
満足 駿一
1
,
梶原 敏夫
1
,
柴崎 啓一
1
,
大谷 清
1
,
野町 昭三郎
1
Shun-ichi Manzoku
1
,
Toshio Kajiwara
1
,
Kei-ichi Shibasaki
1
,
Kiyoshi Ohtani
1
,
Shozaburo Nomachi
1
1国立療養所村山病院整形外科
1Department of Orthopedics, National Murayama Hospital.
キーワード:
国立病院・療養所
,
脊髄損傷患者
Keyword:
国立病院・療養所
,
脊髄損傷患者
pp.509-515
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104012
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はじめに
わが国の脊髄損傷の実態は,残念ながら決してよく把握されているとは言えず,例えば,わが国で,毎年どれ位の数の患者が,新しく発生しているかについてさえも,現在その拠所となる正確な資料に事欠いている.従って,脊髄損傷の疫学的実態を掴むには,限られた範囲での部分的で断片的な資料の中から類推する以外に,他に有効な手立てはない.これらの資料の中,冨田ら1)(1964)が行った全国調査は,この種のものとしてはわが国最初の調査であり,極めて貴重なものであるが,その後のものとしては,赤津(19682),19723)),久保ら4)(1974)の報告が数少ない比較的新しい調査として利用できるだけである.
ところで,これらの最近の調査によれば,脊髄損傷の疫学的実態には,近年いくつかの確実な変化が生じつつあり,その中でも特に,頸髄損傷の絶対的かつ相対的増加が共通の問題となっている.しかも,その様ないくつかの変化や傾向は,ひとりわが国のみならず,欧米諸国においても同様で,脊髄損傷の治療に携る者の国境を越えた共通の関心事である所に,今日の特徴とその重要性がある様である(赤津1975)5).
この様な折,1977年9月われわれは,全国の国立病院および国立療養所に入院中の脊髄損傷患者を調査する機会を得ることができた.今回の調査対象は,国立病院並びに国立療養所という,専ら国立の医療施設の,しかも入院中の者だけに限られているので,本調査の結果も,これを以って直ちに脊髄損傷の今日的全体像を窺いし得る程の統計的意味合いは少ないと思われるが,一種の全国調査であり,ひとつの参考にはなろう.ここに結果の概要を報告する.
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