一頁講座 関節・3
関節の病理組織学
赤松 功也
1
1慈恵医大整形外科
キーワード:
関節
,
病理組織学
Keyword:
関節
,
病理組織学
pp.219
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103953
- 有料閲覧
- 文献概要
関節構成体としては,骨,軟骨,関節包(滑膜),靱帯などがあげられる.これらのなかでも,特に,軟骨と滑膜は直接運動面に関与するものとして重要である.
図1aは家兎の股関節で,ヒトの年齢では10歳ぐらいに相当する.骨頭表面には厚い軟骨があり,中心には骨梁をみる.いま,大腿骨頭への血液を遮断すると,正常な内軟骨性骨化は阻害され,骨頭核の骨梁は壊死に陥り,荷重により骨頭は変形し,脱臼する.他方,骨頭を失った関節窩は萎縮する(図1b).これらの変化は,若年者のペルテス病,あるいは先天性股関節脱臼に一脈通ずるものであり,関節の鋳型関係を示すものである.また,図2は,老齢者の変形性股関節症における大腿骨頭である.軟骨にerosionが生じ,欠損してくると,嚢腫が形成され,さらに荷重が直接かかった骨梁は肥厚し,骨頭の変形は進行する.以上2つの所見は,関節軟骨の柔軟性と強靱性を如実に示したものである.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.