Japanese
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特集 リハビリテーション医学の基礎―正常生理と病態生理
Ⅲ.合併症の病態生理
肩手症候群の発生機序
Pathogenesis of Shoulder-Hand Syndrome.
江藤 文夫
1
Fumio Eto
1
1東大医学部老年病学教室
1Department of Geriatrics, Faculty of Medicine, University of Tokyo.
キーワード:
肩手症候群
,
片麻痺
Keyword:
肩手症候群
,
片麻痺
pp.1037-1046
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103905
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はじめに
肩手症候群は片麻痺の合併症として,痛みと拘縮変形が,リハビリテーションの実施を著しく阻害する要因となることから重要視される1~3).一方,内科系の教科書には心筋梗塞の重要な合併症として古くから記載されているものであるが,一般的には「くび・かた・うで症候群」あるいは頸腕症候群と混同されることが少なくない.広義には,これらに含めうるという見解もあるが4,5),Steinbrocker6,7)以来,独立の臨床概念として認められるようになった理由は,原因疾患の多様さにもかかわらず,一定の臨床症状,経過を示すこと,発生機序の面からreflex neurovascular(sympathetic)dystrophy8~11)として統括される一群の疾患群に属し,予後および治療的観点からも一つの症候群としてまとめることが適当と考えられたことにある.しかし,その発生機序の詳細については反射性ジストロフィー説そのものを含めて,自律神経障害説,自己免疫説など未だ充分に解明されていない面がある.
本稿では,著者らの研究の結果も含め,これまでの文献に基づいて,肩手症候群の発生機序に関する仮説の流れと今日の考え方について概説したい.
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