Japanese
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特集 リハビリテーション医学の基礎―正常生理と病態生理
Ⅱ.機能障害の病態生理と回復過程
末梢神経障害とその回復過程
Peripheral Neuropathy and Problems in Its Recovery Course.
長尾 竜郎
1
Tatsuro Nagao
1
1九州労災病院リハビリテーション診療科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyūshū Rōsai Hospital.
キーワード:
末梢神経障害
,
回復過程
Keyword:
末梢神経障害
,
回復過程
pp.955-965
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103895
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Ⅰ.はじめに
末梢神経障害(ニューロパチー)は,神経内科,整形外科,リハビリテーション科の日常臨床でしばしば遭遇する疾患群である.
最近,職業病(有機溶剤中毒等),水俣病(有機水銀中毒),シンナー遊び(n-ヘキサン中毒)等の末梢神経障害が社会問題となっており,また,抗生物質(クロラムフェニコール等),抗癌剤(ビンクリスチン等),抗痙剤(ジフェニルヒダントイン)等の薬物中毒,注射(ピリン剤,抗生物質),麻酔,手術,血管写等による医原性末梢神経障害も注目をあびている.
診断学の領域では,潜在的なニューロパチーをも早期にとらえうる電気生理学的検査法,末梢神経の組織学的検査法(神経生検,ときほぐし線維法による定量的分析,電顕等)がかなり一般化したし,治療学の領域ではmicrosurgeryによる神経修復の精密化,神経移植術,神経移行術の進歩等があげられる.
以下,まず末梢神経障害の病因,障害形式について概観し,ついで障害回復過程における臨床的な諸問題について述べることとする.
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