連載 印象に残ったリハビリテーション事例
母親への反発から悪化を繰り返し長期入院に陥っていた統合失調症患者の回復過程
小川 一夫
1
1都立中部総合精神保健福祉センター
キーワード:
統合失調症
,
回復過程
Keyword:
統合失調症
,
回復過程
pp.1076-1078
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101644
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本症例は,母親への反発と暴力のため退院のめどが立たず,当センター(都立中部総合精神保健福祉センター)に紹介された統合失調症の女性Aさんである.センター入所当日も母親と怒鳴り合いながら来所したという経緯がある.母親との同居生活は困難であったため,アパートでの単身生活をめざし,センターで入所訓練を行うこととなった.当センターは,社会復帰のための社会復帰病室(20床)とホステル(生活訓練施設,40居室)を有しており,1年余りかけて地域移行を図り,退所後の地域定着支援も併せて行っている.
Aさんは,入所訓練を含むその後の一連の生活体験を通して,社会適応がめざましく改善して周囲の関係者を驚かせた.こうした変化は,自尊感情が回復する体験を通して,自分の生活能力に自信を取り戻したことによると考えられる.本稿では,こうした回復過程について報告する.
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