学会報告
第8回九州リハビリテーション医学懇話会―昭和52年2月13日,於九州厚生年金病院高等看護学院講堂
三好 正堂
1
1九州厚生年金病院リハビリテーション科
pp.779-781
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103866
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演題1 大腿骨頸部骨折のリハビリテーション
大腿骨頸部骨折の治療でリハビリテーション(リハ)の重要であることは常識となっているが,実際には過誤や転倒による再骨折を憂慮し,骨接合術後1ヵ月ないし骨癒合が大体完成する3ヵ月後より離床させる場合が多いようである.しかし,それでは,たとえベッド上訓練を早期より開始しても廃用性筋萎縮,尿失禁,痴呆などを十分予防できない.演者らは,外側型骨折の2例で術後4日目,7日目より健側下肢による起立・歩行訓練を始め好結果をえた.1例は84歳女性で左大腿骨頸部骨折後7日目に接合術を行い,術後7日目より起立歩行させ,107日間の入院日数で1本杖歩行で退院した.過去5年間当院で手術・リハを受け,1本杖歩行で退院した患者の入院日数は130~510(平均194)日であったから,入院日数も大幅に短縮できた.症例2は78歳女性,術後痴呆が出現し看護困難になったが,術後4日目より健側下肢による起立訓練,車イスでの作業療法を開始したところ,精神症状は改善し順調な経過をとっている.
術後早期に健側下肢で起立歩行させることは安全であり,多くの二次的障害を予防する上に重要であり,入院日数を短縮できる.
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