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今月は「在宅リハビリテーション」の特集をお届けする.わが国でもリハビリテーションのニードに関する認識はかなり浸透して来ているようであっても,問題は多い.リハビリテーション科が診療科として医療法上認められていないという事は厚生省が現実に背を向けている事の証明にもなるし,逆に考えると,にせものまがいのリハビリテーションが増えているので医療法上認めるわけにはゆかないという,ある意味では合理化を行っているような理由づけも聞く.リハビリテーションは地域単位で考えられるべきであり,人間すべて同胞という基本的理念が活かされないとリハビリテーションのサイクルそのものが狂ってしまう.
巻頭言で大塚氏が述べておられる事は全くその通りであり,リハビリテーションは施設よりも人であると,今更ながら強く感じられる.一般的にも大きな立派な施設でなければリハビリテーションは受けられないという誤った感覚が育ちつつある事は嘆かわしい事であり,場所はなくともイニシャティブおよびオリジナリティのある人がいれば,いくらでも効率の良いリハビリテーションサービスの提供が可能であるという事実にもっと気付いてもらいたいものである.この特集を機会に実感として訴えたい事は日本国中どこの地域でも時期を逸しないでリハビリテーションサービスが受けられるシステムの体系づけ,急性期,回復期その後のフォローアップも含めていつも誰かが親身に相談に乗れるような地域単位の確立などに関して行政担当者のみならず医療従事者が熱心な働きかけを続けて下さる事である.遅いようでも確かにわが国のリハビリテーションは動いているし,わが国ではわが国なりの発展がより良き方向に進む事を願っている次第である.
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