グラフ
製鉄の町,八幡の病院—九州厚生年金病院
pp.13-17
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204619
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北九州工業地帯の中心地,八幡に九州厚生年金病院はある.数千本の臣大な煙突が林立し,モクモクと黒煙をはき続けるありさまが,病院の屋上からながめられる.製鉄の町,工場の町,労働者の町の病院である.昭和30年,厚生年金病院としては,東京・大阪に次いでの誕生.当時,整形外科という領域はまだ新しく,大学の講座としてもっている所も多くはなかった.そこで整形外科を主体としたこの病院は,九州のみにとどまらず,中国・四国地方から集まる患者でにぎわった.リハビリテーション施設など,今は,ここよりもりっぱな設備を整えた病院も多くなったけれども,まだまだ当初のいきごみは十分感じられるほど活躍している.
昭和39年心臓センター,44年には成人病センターをつくった.そしてまた,日本ではいちばん最初ではないかと思われる"吸入療法"も始められた.ぜんそくなど,慢性気管支炎の患者のためである.いずれも,住民の必要性に応じてつくられたものである.院長は,もう一歩進めて,患者が来るのを待つだけでなく,病院のほうから出かけていくことも考え始めておられるという.身動きのできない老人の患者がふえてきたためである.老人は,ここでも大きな問題となっているのだ.
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