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特集 二分脊椎のリハビリテーション
二分脊椎の成因
Etiology of Spina Bifida.
谷村 孝
1
Takashi Tanimura
1
1京都大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Kyoto University.
キーワード:
二分脊椎(脊椎裂)
,
多因子遺伝
,
脊髄裂
Keyword:
二分脊椎(脊椎裂)
,
多因子遺伝
,
脊髄裂
pp.245-255
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103765
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はじめに
二分脊椎(spina bifida,脊椎裂rachischisis)は椎骨の正中線上の部分的欠損で,脊髄および脊椎の異常が関与しているが,発生過程のうえからは脊髄の異常が一次的であるので,中枢神経奇形に分類されている.
二分脊椎の発生は,胎生初期に生じる神経管の後方端である後神経孔が,正常であれば受精後28日頃に閉鎖するが,その一次的ないし二次的閉鎖障害に関与するものと考えられ,その少し前(受精後26日頃)に閉鎖すべき前神経孔の閉鎖不全に由来するとされる無脳(anencephaly)と,異常発生の機構やその成因に共通性があるとされているところから,この両奇形を一括して神経管異常(neural tube defect)として論じられることが多い.
無脳は出生後生存が不可能で,死産・死亡届でほぼ全例把握しうることが期待されるのに対し,二分脊椎は必ずしも生存が不可能ではなく,また潜在性二分脊椎のごとく見逃されうるものもあり,完全には把握されていない.疫学調査では,両者を分離していない場合もあり,また分離している場合でも無脳に関する調査の方がより詳細である.したがって,以下神経管異常一般または無脳に関する研究も補足して,二分脊椎の成因と発生過程について述べる.
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