特集 小児診療における包括的医療
5.染色体異常疾患の包括的医療
稲井 慶
1
1東京女子医科大学循環器小児・成人先天性心疾患科
キーワード:
染色体異常
,
先天性心疾患
,
多因子遺伝
Keyword:
染色体異常
,
先天性心疾患
,
多因子遺伝
pp.30-36
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001599
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小児の染色体異常疾患においては,先天性心疾患を伴う症例が多い.先天性心疾患の大部分は多因子遺伝であり,表現型はさまざまな要素に影響される.胎児診断の段階で何らかの染色体異常やそれに伴う先天性心疾患の疑いがある場合,遺伝的背景や再発率などに関する情報を提供して,遺伝カウンセリングを行うことが重要である.生後の臨床経過も染色体異常による心疾患以外の問題に左右されることが多く,迅速に染色体異常や疾患遺伝子の同定,環境因子の調整が必要になる.さらに,両親に環境要因なども含めた詳細な説明を行って,不安を取り除き,患児と家族に,発育や精神面・社会面に至る縦長で全人的な指導を行っていくことが包括的医療の役割である.
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