巻頭言
小児リハビリテーション雑感
陣内 一保
1
1神奈川県立こども医療センターリハビリテーション科
pp.243
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103764
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わが国における小児のリハビリテーションは,歴史的にみても,1870~80年代の訓盲院設立(東京,京都,横浜),肢体不自由児施設の原型ともいうべき柏学園(1921),現在の肢体不自由児施設の形態としてはじめての整肢療護園(1942)の開設,さらに高木憲次先生による「療育」という語の提唱など,リハビリテーションにおいて,常に先進的役割を果してきた.特に「療育」はリハビリテーションという仮名書きの語が昭和30年代に登場するはるか以前から用いられ,しかも,小児のリハビリテーションを適確にとらえており,この語を使わせていただく度に,大先覚者高木憲次先生への尊敬の念を新にしている.
このような歴史的背景を有する小児のリハビリテーションではあるが,現在のリハビリテーション医学全般における小児のリハビリテーションの比重,また,小児のリハビリテーションの場ともいうべき,肢体不自由児施設のあり方は,多分に問題を含んでいる.既に,一般のリハビリテーション医学に関しては,リハ専門医と自他共に認める方々が,年年増加しつつある.しかし,小児リハ医は,まだとてもその水準に達していない.
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