インターホン
雑感
杉山 厚子
1
1旭川医大付属病院
pp.393
発行日 1978年6月25日
Published Date 1978/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205398
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「赤ちゃんてこんなに意地悪なんて……。夜になったら目をパッチリ開け,疲れているのに少しも寝かせてくれないし,時間が来ても,お乳はちっとも吸ってくれないし,私に恨みでもあるのかしら」「母乳を出すのがこんなに痛くつらいものなんて知らなかった。こんなことなら母乳で育てなくてもいいわ……。母乳は出るもんでなく出すもんだなんて……」など,驚きと喜びの入り混じった声を聞きながら,毎日が過ぎていきます。
ある日,何回か中絶した後に,分娩したお母さんが,「ここは赤ちゃんのことなど,良く教えてくれるから,良く聞いて下さい。わからなければ助産婦さんに教えてもらって下さいね」と受け付の人が言ったので安心してたのに,何も教えてくれず,ほったらかされた。こんな所に来るんでなかった,などと夜もふけた母児同室の褥室で,せつせつと訴えるのでした。私は受付けの方に,私たちの仕事を理解していただいていることに感謝すると同時に,"何も教えてくれない"の言葉にひっかかりを感じたのです。産褥4日目,母児同室の疲れと,自分の思い通りにならぬ赤ちゃんへのイラだちが出たらしい……。
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