特集 障害者福祉を考える
障害者の教育と福祉
吉本 哲夫
1
1東京都立石神井ろう学校
pp.98
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103476
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障害者が日本国民のひとりとして,憲法に規定された主権者となるにふさわしい発達を保障するのは国と地方自治体の責任である.障害者の発達要求を正しくうけとめてそれを実現するためには,発達に必要なすべてが保障されなければならない.しかし現状は,医療・教育・しごと・生活など障害者にかかわるものすべての保障がまったく不十分である.
すべての障害者に教育を要求する各地の運動は,1979年度に肢体不自由,ちえおくれ,病弱・虚弱児の教育を義務制にするという文部省の方針をひき出した.日本国憲法と教育基本法が施行されて以来,実に32年も経過した後で実施するというのである.しかも,文部省予算の組立てでは,障害者のための学校・学級の増設,教職員の増員と待遇改善,教員養成などどれひとつとっても不十分であるといわざるを得ない.いま,必要なことは,東京をはじめ各地で積極的に展開されている重度・重複障害児の教育をさらにすすめ,1979年度をまたずに義務教育を達成する運動をつよめることである.
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