特集 障害者福祉を考える
対談:障害者福祉を考える
鈴木 正里
1,2
,
上田 敏
3
1大阪経済大学
2乙訓(おとくに)障害児父母の会
3東大病院リハビリテーション部
pp.133-143
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103482
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はじめに
上田 今日は,鈴木先生にはわざわざ京都からおいでいただきましてありがとうございました.
鈴木先生は,この雑誌にも度々書いていただいておりますが,いわば3つの面を持っていらっしゃいます.ひとつは社会政策学者として,社会政策,社会保障,あるいは社会福祉にも関係の深い学問の専門家でいらっしゃる.もうひとつは,障害児をお子さんにお持ちになって,障害者の問題を全く自分自身の問題として体験しておられる.それから,いわばそれら2つの極をつなぐ活動として乙訓(おとくに)障害児父母の会の会長として,長年にわたって障害者運動に携わってきておられるわけです.
そういう3つの立場がおありになるので,障害者の福祉という複雑な問題を考える上でも多面的な角度から見ることができる,ある意味では恵まれた立場にいらっしゃるのではないかと思います.
早速ですが,福祉という言葉が最近非常によく使われますが,その内容は,人によって含ませている意味が違うように思います.先生は,この雑誌の創刊号に,リハビリテーションにおいて,経済性と人道性という2つの面の間に矛盾があるということを指摘されたわけですが,障害者の福祉を論ずる場合には,その矛盾がなおさらはなはだしくなり,経済性に関してはむしろマイナスだけであって,人道性だけしか福祉に関しては論じ得ない,という考え方もよくあるわけです.
そういう点で,まず障害者にとっての福阯とはいったい何なのか,福祉の内容は何かということについて,先生のお考えをうかがいたいと思います.
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