資本主義制度における障害者福祉

The Social Welfare of a Disabled Person in the Capitalism.

はじめに

　社会保障についての経済学的研究が確立されていない現状において，経済学の観点から障害者福祉問題を問題にすることは大変困難である．少し具体的にいえば，資本主義経済の発展法則との関連で障害者がどのように発生するのかということが明らかでない．労働者の労働とのかかわりにおいては，アダム・スミスやマルクスの研究において基本点は明らかにされている．しかし，それは現在の段階ではもっと具体的に明らかにされなければならないが，残念ながらその後の積上げが不十分である．それから，現在における障害者福祉問題では，労働者自身だけの問題ではなく，労働者家族および労働者以外の国民の障害者問題が明らかにされなければならないが，このような経済学に基礎をおいた研究はより一層不十分である．そのようなことから，本論ではアダム・スミスおよびマルクスの所論の要点との関係において問題を取り上げるにとどめざるをえなかった．