Japanese
English
特集 リハビリテーションと精神的諸問題
老人のリハビリテーションにおける精神医学的側面
Psychiatric Approach to the Rehabilitation of Aged Patients.
柄沢 昭秀
1
Akihide Karasawa
1
1東京都老人総合研究所心理学部
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
キーワード:
老人
,
痴呆
,
精神障害
Keyword:
老人
,
痴呆
,
精神障害
pp.965-970
発行日 1975年12月10日
Published Date 1975/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103442
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はじめに
身体障害老人のリハビリテーションに際しては,患者の身体面に対して働きかけることだけでなく,同時に精神医学的な配慮が必要とされる場合が特に多い.その主な理由として,リハビリテーションは長期間にわたる治療行為であるからこれが円滑にすすめられるためには,治療者が患者の心理状態を十分に理解することがまず前提とされる.とくに老人患者の精神状態は環境の変化に敏感で動揺しやすく,些細なきっかけで不安が強くなったり,憂うつ状態に陥ったりする.さらに身体障害老人には脳血管障害を伴うことが多いので,脳障害による精神障害,たとえば痴呆や意識障害を呈する場合がしばしばある,などのことが挙げられよう.また老人患者では精神機能と身体機能との相互関連性が特に密接であり,身体面での機能低下が精神機能の悪化をまねき,精神面での異常が身体的機能低下をさらに悪化させるという悪循環を生じやすい.
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