Japanese
English
研究と報告
生活の変化が老人の精神状態に与える影響
Influence of Life Style Change by Institutionalization on Mental Function of Aged.
大橋 美幸
1
Miyuki Ohashi
1
1大原記念病院リハビリテーション部
1Division of Rehabilitation Medicine, Ohara Memorial Hospital
キーワード:
生活
,
痴呆
,
老人
,
老人保健施設
Keyword:
生活
,
痴呆
,
老人
,
老人保健施設
pp.405-409
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107613
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はじめに
当院(一般病院)には老人保健施設が併設されており,入所・短期入所(ショートステイ)および通所(デイケア)と一貫した在宅支援を行っている.
入所の利用者は,入所希望日時の1~2か月前に入所申し込みをすることが多く,入所判定後,少なくとも入所2週間以前には入所が決定している.この2週間の間に,体調のコントロール,ケースワーカーの面談,荷造りなどの準備が進められ,万全の状態での入所を行うよう努めているが,入所直後,老人が精神的に不安定になったりすることをよく経験する.
変化に適応していくためには,柔軟性,融通性,弾力性が必要であるが,老人の場合,心的硬さが顕著に見られるために,不適応に陥りやすく1),入所や転居など生活の変化をきっかけとして,痴呆の異常症状が現れることが報告されている2).また,生活の変化当初,一時的に見かけ上痴呆が悪化したように見られるが,生活に慣れていくなかで,痴呆症状が徐々に本来の姿に改善してくるという報告もされている3).入所や入院という施設利用による生活の変化が,老人に与えるマイナス面を考慮し,施設ケアの在り方について,検討していかなければならないであろう4).
今回,老人保険施設入所に伴う生活の変化について,老人の精神状態に与える影響を検討したので報告したい.
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