特集 身体障害者と移動手段
座談会/車椅子のJIS規格の問題点―JIS規格見直しの時期に際して考える(昭和50年2月27日,於医学書院)
朝倉 泰典
1
,
小川 博史
1
,
大川 嗣雄
2
,
土屋 和夫
3
1八重州リハビリKK
2横浜市立大学医学部付属病院リハビリテーション科
3労災義肢センター
pp.575-585
発行日 1975年7月10日
Published Date 1975/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103372
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〈司会〉労災義肢センター所長 土屋和夫
JIS規格制定の動機
土屋 先日,デザイン協会の方から,車椅子のデザインについて話を聞きたいということで,そちらに伺いましたところ,デザイン協会の方々がおっしゃるのに,物をデザインするという立場からながめて,いままではよそから,スペックといいますか,仕様が与えられてデザインをしてきたのがデザイナーであったんですが,最近になって,不況で注文がばったり止まったために,なにかよいものはないかという立場から設計を始める人がかなり出てきた.さらに,今度は何かということをさがすというより,自分で問題点を見つけて,その解答を求めて設計をやってみようというデザイナーも現われてきたということです.それで,実は車椅子については,そういう傾向が非常に強くなってきておるので,車椅子の問題点を聞かせて欲しいというお話が出てきたんです.
私としましても車椅子がいままでどこでどういうふうに作られたかということを安全性の立場からいろいろ調べてみまして,これがJIS規格のある唯一の補装具だということを知り,私どももJIS規格を読んでみたわけです.まず「車椅子というのは身体障害の方が自分の足として使えるもの」ということがJIS規格の最初にかなり強く打ち出してありました.しかし,その他は漠然とした目的しか示されておりませんので一度こういった車椅子を作ってこられた八重州リハビリの朝倉さんからJISの定められた前後の状況をお話し願って,いまどうなっておるかということをうかがわせていただきたいと思います.
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