特別講演
神経心理学的評価とリハビリテーション
Arther L.Benton
1
1アイオワ大学
pp.321-324
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103318
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外界からの入力としての感覚過程と,出力としての運動過程とを統合する働きをしています.中枢神経系は,また,個体の生存にとって基本的に必要な植物性機能や,感覚運動機能をつかさどるのみでなく,behavior行動面(または知的面)の機能が順調にとどこおりなく営まれるための解剖―生理学的基礎を提供しています.その結果,もし,CNS(特に大脳)に病変が起こると,感覚運動障害のみでなく,知的機能の障害も引き起こす可能性があります.したがって,CNSを究明するに際しては,化学や解剖―生理学のような基礎科学的側面からのみでなく,行動behaviorの面からの追究も同時に必要であるということが理論的にいえましょう.
脳損傷患者のbehaviorを検索することは,実際的,臨床的な立場からも重要であります.といいますのは,behaviorの障害(以下「行動障害」とする)というものは,おそらく,脳損傷の結果起こる最も重要な問題であると思われるからです.たとえば,脳血管性障害の患者を例にとりますと,社会的,経済的に最も重大な障害は,片麻痺や半盲などであるよりも,むしろ失語症であります.失語症以外にも脳損傷の結果起こるいろいろなタイプの行動障害があります.
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