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編集後記
大井 淑雄
pp.511
発行日 1974年6月10日
Published Date 1974/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103166
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リハビリテーション医学が包括医療としていろいろの患者を扱うということの他に,固有の研究領域の確立もまた1つの独立した専門分野となるために必須のことである.本邦に導入された最近までのアメリカあるいはヨーロッパのリハビリテーション医学においては,以前より本邦にすでに存在した身体障害者に対するcareと相俟って臨床医学としてどのような患者を対象とするかという問題はすでに解答を得ているように見える.しかし固有の基礎研究または臨床研究ともなれば,いまだ学会においてもほとんどが他領域との関連において,あるいは極論すれば借り物といえないこともない.
本号においては労災義肢センターの土屋和夫氏の助言による人間工学の特集を行っており,将来のリハビリテーション医学の固有の研究領域の1つとして大いに期待され,我々も学ばねばならないものである.リハビリテーション工学概論の土屋氏よりはじまり,横溝氏,河村氏が日頃の研究の成果をもとに,物理学や工学にあまり知識を持たない者にも理解しやすく説明された.また加藤氏らのRESAグループはアメリカの代表的整形外科的リハビリテーションセンターの1つの中心であるRancho Los Amigos Hospitalでのシステムを通して工学関係の専門家が臨床医学へいかにして関連を持ち,またサビースするかという問題を討議された.工学にまったく素人である者には入門書の紹介も示されており,その思慮深さに深謝するものである.
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