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編集後記
大井 淑雄
pp.817
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105475
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本号の特集を御覧になって,もしよい出来栄えと判断する読者諸兄姉が多ければ,この編集に多大の御協力をいただき,また自らも筆をとって下さった三島好雄氏に深謝するべきだろう.編集子らの方へまだ若干の他の執筆予定者を推挙していただいたにも拘らず,紙数の制限で一部割愛の止むなきに到りご迷惑をかけたのではないかと案じている.
末梢循環障害は古い歴史的な研究や治療法がありながら,その一方では最近の病気でもある.つまり寿命の延びと生活様式の欧米化多様化,などにより閉塞性障害,脱疽などが最近じわじわと増加しているのである.また糖尿病などという人類の大敵がこれまた減少の傾向が見られていない有様である.従ってそのような意味でこの特集の必要性が編集会議で論じられたわけである.三島氏がその豊富な自験例をもとに総論を述べられておられるが自分でも何回も腰痛疾患と動脈閉塞例の誤診を見聞きしているだけに興味深く読んだところである.潰瘍や壊死がおこれば誰もが気付くのであるが初期に診断が出来なくてはならないからである.安田慶秀氏らは病態生理について詳述され腓腹筋組織内の血流量の測定など研究的な進歩を示された.静脈還流障害をstrain gauge plethysmographyで判定するのも興味深いものであった.
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