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編集後記
大井 淑雄
pp.494
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106543
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今回の特集は自治医大泌尿器科の米瀬泰行氏の労に負うところが多かった.編集部の手違いから執筆いただいた方が多くなり過ぎ,その力作を他号へ廻していただく由承知していただいた.神経因性膀胱に関する研究の最近の進歩はめざましく,その概観を戸塚・米瀬の両氏が解説した.尿流動態検査法はその中でも画期的なものであるとして説明された.脊髄損傷による神経因性膀胱の診断と治療の変遷について白岩・山口両氏がurodynamic studyを基に発展しつつある進歩について述べた.神経因性膀胱の治療のいろいろな方法が清家氏らにより述べられ,内科的外科的治療が簡潔に解説された.寺島氏による小児膀胱機能の論文は小児の反射性膀胱,無抑制膀胱の時期を経て正常成人のそれへと発達する過程の説明で興味深いものであった.排便の生理に関する研究はあまり熱心に行われておらず執筆をしていただける方が居ないのではないかという編集子の心配もあったが,岡田論文は大腸の神経支配や運動からはじまって排便反射,肛門管直腸反射,括約筋弛緩反射など論理的にまた理解しやすく解説されたので,読者に利するところ大である.
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