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編集後記
大井 淑雄
pp.914
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106171
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慢性関節リウマチの診断学はすでに確立しているが,本疾患の病態生理についてはまだまだ模索中というのがここ20年くらいの推移であった.そのため治療法についても実にさまざまな試みがなされ,巷間の民間療法まで含めると大変な数にのほる.例えば,温熱療法一つとり上げてみても,あるものは湿性が良いとか,乾性が良いとかいい,他のものはいや冷却が良いのだといってゆずらない.患者のみならず医師も戸惑う有様であり,そこへ加えて対症療法としての鎮痛剤や鎮痛消炎剤の新製品の猛攻が製薬会社からなされている.
炎症の原因を探り,消炎剤を開発するのは,一応原因追究の根本療法とも考えられるので,これは良いとしても,病態生理などの進歩や把握がなくて疾患を退治できるものか,しかし,最近のリウマチ学は免疫学サイドの研究が進んで,より理解しやすくなったことは本間論文のとおりである.ともすれば非常に難解になりがちの本命題を,実にわかりやすく解説しておられるから必読の価値がある.渋谷健氏は非ステロイド鎮痛消炎剤と炎症機構について筆を持たれ,当節流行のアラキドン酸カスケードについても当然触れられた.
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