一頁講座 自助具・2
片麻痺のための炊事用具(1)
鎌倉 矩子
1
1東大病院リハビリテーション部
キーワード:
片麻痺
,
炊事作業
,
炊事用具
Keyword:
片麻痺
,
炊事作業
,
炊事用具
pp.161
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103101
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- 文献概要
片麻痺患者の多くは,もし歩行が可能なら,9割前後の独立度をもって炊事を行えるようになるのがふつうである.そこではたいてい数点の小道具が活用されている.それらの紹介がこのシリーズの目的ではあるが,しかしこの種の道具を与えればただちに一人前の炊事ができるわけではないことはよく心得ている必要がある.初期には病前の2~3倍の料理時間を要する上に(特に右麻痺の場合)非常に疲れやすいという現実は,それだけの気力と体力とを要求するし,患者と家族の1日のスケジュールにも大きな影響をおよぼしてくる.したがってこの面での心身の準備を助けることが,用具の紹介や使用練習とほとんど同じウェイトで考慮されなければならないことも少なくない.どうしても無理または困難という仕事も少数ながら残りがちであるから,そのことを認識し,計画的に家族の協力を求めるのも大切なことである.
自助具を紹介する立場の人に対しては,次のことを注意したい.①自分で使ってみたことのない道具を患者にすすめてはならない.②患者が実際に使ってみて(セットする,使う,洗う,しまう)
「ほんとうに役に立つものだ」という実感を味わったものだけを家へ持ち帰るようにすすめる.
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