Japanese
English
講座
廃用性骨萎縮(2)―臨床的事項を中心として
Disuse osteoporosis, with reference to the clinical problems.
稲葉 午朗
1
Goro Inaba
1
1帝京大学医学部第2内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Teikyo University.
キーワード:
片麻痺患者
,
骨折
,
発病早期
,
自動運動
,
薬物療法
Keyword:
片麻痺患者
,
骨折
,
発病早期
,
自動運動
,
薬物療法
pp.579-587
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102944
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前回にのべたように,骨の正常な代謝patternを維持するための,最も重要なmechanical stressは筋の収縮によって生ずる刺激であり,これの消失ないし著しい減少で,骨吸収が亢進し,Caの排泄増加,negative Ca balanceが起こると理解されている.そこで,同じ運動麻痺でも,痙性麻痺は筋の痙直による刺激が有利に働き,弛緩性麻痺にくらべて麻痺肢の骨萎縮程度が軽いという説18)もあるが,Frechafer & Mastは58),麻痺下肢の骨萎縮に起因する病的骨折頻度の観察結果をまとめて,痙性麻痺と弛緩性麻痺との間にincidenceの差はなかったと述べている.
周知のごとく,四肢の病的骨折が最も起こりやすい部位は大腿骨頸部であるが,Urist52),Stevensら53)は,同部位骨折例の41~76%に,X線写真上,何らかの原因による進展した骨の萎縮性病変が認められたとして,その対策の重要性を指摘した.当然,廃用性骨萎縮も病的骨折(とくに大腿骨頸部骨折)の有力な原因であるが,とくに高齢者の場合には,predisposeする老人性骨粗鬆症の変化と重なって,骨の脆弱化は時に極めて高度となる.この点で,初老期以後の発症頻度が高い脳卒中後片麻痺患者の機能回復訓練の管理は十分に慎重でなければならない.
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