Japanese
English
特集 廃用症候群へのアプローチ
廃用性骨萎縮
Immobilized Bone Loss.
林 泰史
1
Yasufumi Hayashi
1
1東京都リハビリテーション病院
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Hospital
キーワード:
骨代謝
,
廃用症侯群
,
骨粗鬆症
,
脊髄損傷
,
運動
Keyword:
骨代謝
,
廃用症侯群
,
骨粗鬆症
,
脊髄損傷
,
運動
pp.781-785
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106878
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骨の廃用萎縮の特徴
本特集では,リハビリテーションの観点から捉えて5つの項目について廃用症侯群へのアプローチが論じられているが,これらの中で骨の廃用萎縮は2~3の特徴を有している.その1つは,骨の廃用に至るメカニズムは他の諸臓器に比べて詳しく研究され,部分的に解明されていることである.これは脊髄損傷や宇宙飛行の骨に対する影響,スポーツの骨に対する有効性などの研究によるものと考えられる.2つ目は,骨組織は常に可逆的な変化を示すため,廃用萎縮は治癒しうることである.これは骨組織は変性を示さず,加齢に伴う変化も常に質的変化を伴わずに量的変化のみを示すことからきている.3つ目は,全身に分布している骨組織の中でも,廃用の影響を敏感に現す骨格と鈍感な骨格があることである.これは普段から骨への負荷がどの程度強く反復して加わっているかにより異なり,また単位体積当たりにどの程度の広さの骨表面積があり,骨吸収・骨形成にあずかる細胞の活躍の場が存在するかにより異なる.
以上のような特徴を有して進行する廃用性骨萎縮がある閾値を越えた場合は脊椎椎体や四肢の骨折として現れ,患者を苦しめ,さらに長期臥床を強いるといった悪循環に陥る.障者者に廃用性骨萎縮を生じさせないように配慮し続ける,悪循環に陥った時は断ち切ることの2つは,今後のリハビリテーションに課せられた大きなテーマであろう.そのために廃用性骨萎縮の発生機序,臨床像,治療法について理解しておく必要があるので,以下,順を追って解説する.
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