Japanese
English
特集 リハビリテーション医学の基礎―正常生理と病態生理
Ⅲ.合併症の病態生理
廃用性骨萎縮の発生機序
Mechanical Factors in Disuse Osteoporosis.
岩倉 博光
1
Hiromitsu Iwakura
1
1帝京大学医学部リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Teikyo University, School of Medicine.
キーワード:
廃用性骨萎縮
,
骨代謝
Keyword:
廃用性骨萎縮
,
骨代謝
pp.1013-1020
発行日 1977年12月10日
Published Date 1977/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103902
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
すでに過去半世紀にわたり,骨量は機械的刺激によりかなり変化することが確められてきた.たとえば,長期臥床とか関節固定とか,弛緩性麻痺などにより,骨に対する機械的刺激が減少すると,骨萎縮を生じる.この場合,尿中カルシウム量が増加し,カルシウム・バランスが負となる.骨量の減少がこの負値カルシウム・バランスとほとんど正比例しており,骨の物理的性質の変化はこの骨量減少による.骨吸収が進行し,骨量が減少すると,X線像の変化として認められるようになる.通常のX線像では25%をこえると見分けられる.ただし言葉の用い方としてこの時「鉱物質除去」(Demineralization)とか「脱灰」(Decalcification)という表現が,X線像の骨濃度減少に対する同義語として臨床的に用いられる.しかし,この際の骨吸収を基本的メカニズムから考えると,有機分画と無機分画とが同時に失われる過程であるから,「骨質吸収」(Deossification)という表現の方が廃用性骨萎縮を表現するのに適した言葉であろうと思われる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.